普段何気なく使っている声ですが、意外に知らない声の仕組み。声でお悩みでしたらボイストレーニングをおこなう際に「声が出る仕組み」を理解するのがおすすめです。仕組みを知ることで、自分の声がどのように出ているのかイメージしやすくなりますよ。この記事では発声の仕組みについて説明します。
声の仕組みを知るといいことあるの?
ボイストレーニングの効果UPにつながるよ
声が生まれる場所は声帯
声のもとが生まれる場所は、咽頭の中にある声帯です。
声帯は喉頭の中にあり2枚の筋肉のヒダでできています。声帯のある場所はちょうど上の写真で触れているあたり。
声帯は呼吸しているときは開き、声を出すときは閉じる動きをします。閉じた状態の声帯に空気があたることで振動してつくられる音が声の源です。
声帯の長さは、成人男性で1.5cm~2cm、成人女性で 1 cm〜1.5cmほど。個人差はあると思いますが、意外に小さく繊細な楽器ですね。
〈正面から見た声帯の位置と形状〉
〈声帯を上から見たときの状態〉
(上部が身体の後面)
声がわたしたちの耳に届くまでの流れ
声がわたしたちの耳まで届くまで流れを簡単に説明します。
①息が声の原動力になる
声帯は息があたることによって振動するため、声の原動力は息になります。
わたしたちの身体の中で、空気を出し入し入れするポンプのような役割をしているのは肺。そこから息が送り出されてされて、声帯の間を通り振動させることで声のもとをつくります。
ボイストレーニングの場でよく耳にする「お腹から声を出す」というイメージはここに関係しますが、実際に息によって振動しているのは声帯。息は原動力の役割です。
〈息の流れと声帯のイメージ(丸のあたりが声帯)〉
出典:「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム 音楽之友社
②声帯が振動する
前述したように、声帯が肺から送られた息によって振動することで声のもとが生まれます。声帯は気管の入り口の左右の壁から隆起していて、声帯筋・声帯靭帯・粘膜層の3層構造。
出典:「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム 音楽之友社
内側の粘膜部分は2本のゴムひものように伸び縮みして開閉が可能です。この声帯が閉じたところに、空気があたって振動することで声のもとがつくられます。粘膜は弾力があるので振動して音を生みやすい形状をしています。
声帯の状態、合わさりぐあいによって音色や強弱、高さが変わってくるよ
③声帯で生まれた音が共鳴する
声帯から生まれた音は、喉を通り口や鼻から出ていき、それがわたしたちが耳にしている声になります。
声は声帯から生まれるといいましたが、わずか1~2cmの声帯から生まれた声のもとは、そのままでは小さなもの。喉や鼻の中に響いて共鳴することによって声量と豊かな響きがつきます。
〈声の共鳴のイメージ〉
出典:「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム 音楽之友社
無意識に声を出しているけど、こまやかに身体が連動していたんだね
声が出る仕組みから考えるボイトレの3つのポイント
声の出る仕組みから、発声には息・声帯・共鳴の3つの要素が必要だとわかります。そのため、ボイストレーニングでの主なポイントは、以下の3つの状態をよくしたり、効率をあげたりすることになります。
- 息の使い方
- 声帯の振動
- 声の共鳴
たとえば、息がたくさん使えていても、声帯がうまく振動していなければ大きな声は出ません。反対に、声帯がよく振動していると、身体(楽器)が小さくても大きな声が出ます。赤ちゃんは、大人以上の大きな泣き声をしていますよね。
ボイストレーニングの方法はさまざまです。ボイストレーニングをする際には、自分に必要なポイントを踏まえながら、総合的に何が必要か判断しておこなっていきましょう。
イメージを明確にしてボイトレの効果をあげよう
筋肉のトレーニングなどでも、鍛える場所を意識した方が効果が出やすいといわれています。イメージトレーニングの効果は科学的にも証明されており、最近よくスポーツの分野などで耳にするようになりましたね。
人は赤ちゃんのときに失敗しながら立ち上がったように、「やってみたい」と願ってイメージして挑戦していくうちに、さまざまなことを獲得できる力を持っています。
ただ、声に関しては間違って捉えてしまうと、無理をしてしまって喉の調子を崩したり、なかなかよい方向にいかなかったりする場合も。
より声を響かせていくには、自分に必要なポイントを意識して、イメージを持ってトレーニングすると効果が出やすくなりますよ。
発声器官に必要な刺激をくり返し与えることで、声がより良くなる可能性を誰もが持っています。
参考:荻野仁志・後野仁彦 共著「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム 音楽之友社 ハーバード大学のパスカルレオーネ教授「イメージトレーニングの研究」