声を出すのに適した腹式呼吸。発声の他にも、心身にさまざまなプラスの効果があるのをご存じでしょうか。「ボイストレーニングをしたら身体の調子がよくなった」という生徒さんもいらっしゃいます。しかし、なんとなくいいと知っているけど、具体的に何によいのかはわからないという方も。そこで今回は、腹式呼吸における心身のメリットについて説明します。
心身にいいことがわかるとブレストレーニングも楽しくなるかな。息の使い方で発声のしやすさも変わってくるから一石二鳥だね♪
腹式呼吸のメリット
腹式呼吸のメリットについて説明します。
①ストレス緩和効果
ゆっくりと息を吐くことで副交感神経を優位にして、ストレスをやわらげ精神を安定させる効果があります。
私たちの身体は、活発に身体を動かすときに活性化する「交感神経」と、リラックスしたときに活発になる「副交感神経」という2つの自律神経のバランスで成り立っています。
しかし、ストレスや外的な刺激が多くなると、自律神経は交感神経が優位に働きやすくバランスが崩れがちに。
交感神経は、心拍数を上げ、筋肉へ血液を供給して身体を活動しやすい状態にするもので、決して悪いものではありませんが、優位になり続けてしまうと心身に不調をきたす恐れもあります。
一方、副交感神経は、心拍数を下げて消化器への血液供給量を増やし身体をリラックスモードにする働きがあります。
自律神経は自分で調節することは難しいといわれていますが、呼吸を意識することで副交感神経と交感神経のバランスを整えることが可能。腹式呼吸は溜まったストレスを緩和するよい方法のひとつとして注目されています。
②免疫力UP効果
腹式呼吸は免疫力を上げる効果も期待できます。
横隔膜の上下運動が、内臓をマッサージして胃腸の働きがよくなると、血流もよくなり、免疫力アップにつながります。内臓系の病気リスクの低下にもつながるといわれていますよ。
また、自律神経と副交感神経のバランスが整うと腸の働きが安定しやすくなります。人間の腸が占める病原菌やウイルスを退治する免疫細胞の割合は、全身の約7割。よい状態を保つことは免疫力UPになりますね。
③代謝UP効果
腹式呼吸をすると、横隔膜が動いて内臓が刺激されて身体が温まり、コリや冷え性の改善にもつながるといわれています。
また、大量の新しい酸素が体内に取り込まれるので、全身の細胞に酸素がいきわたりやすいのもメリット。代謝が促されるので、二酸化炭素や老廃物が身体の外に排出されやすい状態になりデトックス効果が期待できます。
他にも、腹式呼吸を正しく行うと、腸を動かすために必要な腹筋が動きやすくなるので、便通を改善する働きがあると言われていますよ。
④疲労回復の効果
腹式呼吸は酸素をたくさん取り込めるので、疲労を回復しやすくする効果もあります。
前述したように、ストレスが続くと交感神経が過剰に刺激され、呼吸も浅くなりがちです。呼吸が浅くなると、身体に十分な酸素を運べなくなります。そうすると、血中の酸素濃度が下がり、身体の新陳代謝が活発に行われないため、疲れやすくなったり、疲労感が続いたりする原因に。
疲れを溜めない身体づくりのひとつとして呼吸を見直してみるのもおすすめです。就寝前に腹式呼吸を数回して布団に入ると、睡眠の質を上げる効果も期待できます。
⑤インナーマッスルの強化
引用:インターネットより引用
腹式呼吸で動かす横隔膜は、インナーマッスルのひとつです。他にも、横隔膜を使った呼吸は、骨盤底筋やお腹の奥の筋肉にも関係します。呼吸は身体の内側の筋肉が連動して動くため、インナーマッスルを鍛えるのによい方法といわれています。
腹式呼吸を使った正しい発声が心身によいのがよくわかるね♪
以下の記事で、腹式呼吸の簡単な練習方法について紹介しているので参考にしてみてくださいね。
発声はなぜ腹式呼吸がいいの?説明と簡単にできる練習法を紹介します
腹式呼吸は手軽にできる健康法
腹式呼吸は、発声に有利なだけでなくリラックス効果や免疫力アップなどのさまざまなよいところがあります。
声の源は息。なんだか元気が出ないときや、ストレスが溜まったときにお腹から声を出すと自然に力が湧いてくるのにもこんな理由があったのですね。
さらに、腹式呼吸は冷え性など体質改善の効果も期待できる手軽にできる健康法。ボイトレだけでなくカラオケや普段の生活でも活用できるので取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、正しく腹式呼吸ができていないと効果が出にくいので、呼吸をチェックしながら取り入れてみてくださいね。
呼吸は無意識のうちに浅くなったり、乱れたりするものです。ストレスが溜まっているとき、緊張しているとき、不安を解消したいときなど、呼吸に意識を向けてみるのもひとつの方法ですね♪ストレッチと、息を吐くところから取り組んでみてはいかがでしょうか。