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発声はなぜ腹式呼吸がいいの?理由と簡単にできる練習法を紹介します

発声 腹式呼吸

発声に関する情報で「声を出すときは腹式呼吸がいい」とよく耳にしますよね。しかし、わたしたちは普段の生活で、何気なく呼吸しているので、方法についてはあまり意識しないもの。「腹式呼吸」という言葉は知っていても、意外にピンとこない方も多いのではないでしょうか。今回は、腹式呼吸の仕組みと発声によい理由を説明します。

かえるコーチ

簡単な腹式呼吸の練習方法も紹介するから参考にしてみてね

呼吸の種類について

発声 腹式呼吸

呼吸法は大きく分けると腹式呼吸と胸式呼吸の2種類があります。

空気は肺の中で交換されますが、肺そのものは自ら伸び縮みできません。周囲の筋肉や骨の動きによって収縮します。〇〇呼吸というのは、そのときに体のどこを優位に使っているかを示した呼び方です。

腹式呼吸

肺の下にある横隔膜を主に使った呼吸法です。

横隔膜とは、胸腔と腹腔を仕切っている膜状の筋肉。「膜」とよばれていますがドーム状の伸縮性の高い筋肉です。位置は下図を参考にしてみてください。

発声 腹式呼吸

 出典:「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム 音楽之友社

腹式呼吸では、横隔膜を上下させて息を出し入れします。

息を取り込むときには横隔膜が下がりお腹が膨らみ、息を吐き出すときには横隔膜が引き上がりお腹が縮みます

胸式呼吸 

胸の周辺にある肋間筋を主に使った呼吸法です。

肋間筋は、肋骨と肋骨の間にある筋肉。肋間筋を使って肋骨を上下させて、肺を横に広げて膨らませます。

横隔膜と肋間筋の動きのイメージ

横隔膜と肋間筋の動きのイメージは以下の図を参考にしてみてください。

発声 腹式呼吸

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』

胸式呼吸は骨で動きを制限されるので、広がりの自由度は少なめ。それに比べて、腹式呼吸は柔軟な動きが可能です。

かえるコーチ

一般的に“日中起きて活動しているときは主に胸式呼吸”、“寝てるときは腹式呼吸”みたいに両方を使いながら生活してるよ

ねこ

腹式・胸式両方が組み合わさって呼吸が行われているんだね

腹式呼吸が発声に向いている理由

発声 腹式呼吸

発声には、喉のリラックスや、安定して息を使えることが重要になります。声は、喉にある声帯に息が当たって振動することで生まれるためです。

ここで、発声に関係する腹式呼吸と胸式呼吸の特徴をあげてみます。

〈腹式呼吸の特徴〉    

  • 使える息の量が多い
  • 呼吸をコントロールしやすく、安定して吐くことができる
  • 喉周り(首や胸・背中などの筋肉)をリラックスできる

〈胸式呼吸の特徴〉    

  • 腹式呼吸に比べて息の量が少ない
  • 喉周辺(首や胸・背中などの筋肉)に力が入りやすい 
  • 喉の位置が上がる   

息をたくさん吸えればいいというわけはなく、出ていく息をうまく調整して使えることが大事になりますが、扱える息の容量が多いのと、喉周りのリラックスに向いていることから腹式呼吸は発声に有利だと思います。

以下の記事で、呼吸と発声の関係について説明しているので参考にしてみてくださいね。

ボイトレはイメージが大事!声が出る仕組みをわかりやすく説明します

腹式呼吸の簡単な練習法

  • お腹をへこませながら息を吐き出します
発声 腹式呼吸
  • 息を吐ききったらお腹の筋肉を緩めて(広げて)息を自然に取り込みます(息を吸い込むというより、吐き出したスペースに息がスーッと入ってくる感じ
発声 腹式呼吸
  • ゆっくり、くり返します(お腹が縮む→膨らむを意識する)

はじめは横になってやってみるとやりやすいです。それから、立ち上がって同じようにお腹を使ってゆったり呼吸してみましょう(下っ腹あたりに手をおいて動いていることを確認しながら行う)

立ち上がるとうまく行かない場合は、座って行ってみたり、少し前かがみになって行ってみたりして身体の動きを確認してみてくださいね。

横になっているときの、リラックスした身体の動きに近づけていく感じです。

かえるコーチ

息を吐いていくと胸が首に力が入ってしまうときは、お尻の穴を締めることを意識すると、自然に腹式呼吸につながるよ

腹式呼吸は身体がリラックスする呼吸

発声 腹式呼吸

よい発声に適している腹式呼吸。ただ、最初は声を出すときに、自然に使うのは難しいかもしれません。そのときは、横隔膜を意識したトレーニングで身体の使い方をマスターしていきましょう。

「腹式呼吸」と聞くとお腹だけ使われているように感じて、意識することで力みがちになるケースもありますが、実際は横隔膜の収縮だけで呼吸しているわけではありません。

身体はつながっていることを念頭に置いておき、全身がリラックスして連動している状態で発声するイメージが大切です。腹式呼吸をトレーニングする際は、ゆったりと行いましょう。

参考:荻野仁志・後野仁彦 共著「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム 音楽之友社 メリッサ・マルデ/メリージーン・アレン/クルト=アレクサンダー・ツェラー 監訳:小野ひとみ 訳:若松恵子・森薫 歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと 春秋社  川井弘子 うまく歌える「からだ」の使い方 誠信書房