声を出しやすくするのに重要な喉のリラックス。喉周辺が硬くなっていると、声のもとである声帯の振動の妨げになります。発声をよくするには喉周辺をやわらかくするストレッチがおすすめです。
今回は、舌や喉のストレッチ方法を紹介するよ!
喉と舌の関係
声が出やすい状態とは、声帯がうまく動いている状態です。声のもとは、喉の中にある声帯の隙間を息が通ったときに起きる振動。ですから、声帯がいかに動きやすい状態で、かつコントロールできるかは発声をよくするうえで重要になります。
もともと声がうまく出る人は、喉周辺の状態がよく、声帯が自然にコントロールできているといえるでしょう。
しかし、声がうまく出ないという人は、声帯周りの筋肉が硬くなってしまって声帯の動きを妨げていることが考えられます。
喉をやわらかくするには舌からのアプローチが効果的な方法のひとつです。舌の付け根である舌根が硬くなっていると、喉のリラックスの妨げになります。舌根の場所は下のイラストを参考にしてみてください。
下のイラストからわかるように、舌根を支えている舌骨は喉に直接関係しています。これらの筋肉が硬かったら、喉を動かすのに無駄に力が必要になってしまうことがイメージできますね。
出典:うまく歌える「からだ」の使い方
発声をよくしていくには舌のストレッチをして、喉周りに無駄な力を入れずに声を出す練習をしてみるとよいでしょう。
例えば、喉の内側を外からは見ることはできませんが、顎の下に手を当てて筋肉が硬くなっていないか確かめながら声を出してみることは可能ですね。また、声帯に指を当てて力まずに振動を感じながら声を出してみるのも効果的です。
舌や口のストレッチ
簡単にできる舌や口の中のストレッチを紹介します。
- 舌根ストレッチ
・舌を指ではさんで伸ばすことでほぐすストレッチ。ティッシュを折りたたんで、やさしく舌を挟んで前方に水平に引っ張る(20秒くらい)
(気持ちよく舌の付け根が伸びる感じで。痛いくらいやるのは舌を傷める危険性があるのでやめましょう)
出典:舌根をやわらかくすると歌がうまくなる
- 舌、口、顔ストレッチ
・ゆっくり息を吐きがら力あっかんベーのように舌を出す→戻すを繰り返す(下顎は自然に下げる視線を上にするとより効果的)
・舌を前に突き出す(地面と水平に伸ばす)→戻すを繰り返す
・舌を口の外に出し上下左右に動かす
・口を閉じた状態で、舌先で唇や頬の内側を押し広げる
※他にも、舌骨と直接関係する肩甲骨のストレッチについては、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてくださいね。
声が出やすくなるストレッチ法を紹介します!その①~肩甲骨・首編~
喉の奥を開くストレッチ
喉の内側をほぐすストレッチを紹介します。喉の奥が開くイメージを持ちながらやってみましょう。
- あくび
生理現象であるあくびは、最大限に体内に空気を取り込む仕組み。喉が効率よく開きストレッチになります。また、喉が開いた状態は声が響く空間を広げます。
- 「ハッ!」と驚く
似たように喉を開く動作に、驚いたときに目を見開らき息を吸い込みこむ動きもあります。「ハッ!」という感じです。
この「ハッ!」の動きを、息を吸い込むことを忘れずに喉の奥の開きを感じながらあえてゆっくりしてみましょう。“驚く”というと緊張がはしったり、胸や肩が上がりやすくなるので、できるだけ胸や肩が上がらないようにするのがポイントです。
この2つの動きを、リラックスしてゆったりとした感じで繰り返すと、喉周辺の内側がストレッチできます。
いずれも、余計な力を入れずに、喉が内側から開く感じをマッピングすることが大切。咽頭が下がり軟口蓋が自然に上がるのがわかるでしょう。
ただし、感覚は大事ですが意識したことで力むというのもよくあること。また、咬み合わせの問題やひどく首周りが凝っているなどで身体が硬くなっていると、喉が開く感覚がつかみにくい場合もあるかもしれません。
くり返しますが、まずリラックスが大事。自分に必要なところはストレッチを続けて身体を緩めていきましょう。無駄な力が抜けリラックスして声帯を振動させるのことが優先です。
焦ってしまうと力でなんとかしようとしてしまいがちですが、喉が開いた状態に“直接的にする”というよりは、必要に応じて“適切な状態に結果的になる”とイメージでくり返しトレーニングした方がよいでしょう。
ちなみに、あくびのMAX状態はかなり喉を押し開くから、そのままで声を出すと喉に力がかかってしまうよ!あくびは喉を開くストレッチとして有効だけど、実際に声を出すときは喉の力を抜いて半あくびくらいの感じ
ハードに鍛えるよりもまずは根底にリラックスを
声が出にくくなる原因の過緊張は、本人が無自覚なケースがよくあります。知ら識らずのうちに身体が硬くなったり、力みが生じていたりするのが“通常”になっていることも。
また、腹筋など身体を鍛えたり、大声を張り上げるなどのハードなトレーニングはやり方が間違っていなければ有効ですが、喉がリラックスしていない状態だと発声がよくなっていかない可能性もあります。人によっては、癖や力みを生じさせたり、喉をこわしたりなども考えられるので注意しましょう。
ストレッチやボイストレーニングをする際は、喉のリラックスを意識して、息の流れを止めず取り組んでみてくださいね。
声が出やすい身体の状態をつくることは、心身の状態をよくすることにもつながります。ストレッチで本来の自分の声を取り戻しましょう♪
参考:春秋社 川井弘子著 うまく歌える「からだ」の使い方 リットーミュージック 立林淳著 舌根をやわらかくすると歌がうまくなる